SNSなどで見かける個人間融資。「少しだけなら…」と軽い気持ちで利用を考えていませんか?でも、その金利について正しく理解しているでしょうか。実は、個人間融資の金利上限は法律でしっかり決められています。もし「年109.5%」といった法外な金利を提示されたら、それは違法な契約かもしれません。
この記事では、個人間融資の金利上限について、出資法という法律を交えながら分かりやすく解説します。なぜ「年109.5%」という数字が使われるのか、現在の正しい上限金利はいくらなのか、そして安全にお金を借りる方法まで、あなたの疑問にしっかりお答えします。トラブルに巻き込まれないための知識を身につけましょう。
個人間融資の金利上限とは?まず結論から
個人間融資と聞くと、友人や家族との間のお金の貸し借りをイメージするかもしれません。しかし、SNSなどを介した見知らぬ人との間での融資もこれに含まれます。こうした個人間の取引であっても、金利には法律で上限が定められています。知らないうちに法外な利息を支払うことにならないよう、まずは結論から押さえておきましょう。
1. 個人間の貸し借りに適用される上限金利
たとえ個人同士の約束であっても、お金を貸す際に設定できる金利には上限があります。この上限を超えた金利での契約は、法律で認められていません。
もし上限を超える金利で契約してしまっても、その超過分については支払う義務がないのです。このルールは、お金を借りる人を法外な利息から守るために作られました。
2. 上限金利を決める2つの法律「出資法」と「利息制限法」
個人間融資の金利上限に関わる法律は、「出資法」と「利息制限法」の2つです。この2つの法律が、それぞれ異なる角度から上限金利を定めています。
簡単に言うと、出資法は刑事罰の対象となる上限を、利息制限法は民事上有効な契約の上限を定めています。どちらの法律も、私たちの生活を守る大切なルールです。
3. なぜ「年109.5%」という数字が出てくるのか?
「年109.5%」という驚くような高い金利。これは、実は2010年まで存在した古い法律の上限金利です。現在この金利で貸し付けを行うことは、完全な法律違反となります。
この数字は、1日あたり0.3%の利息、いわゆる「トサン」と呼ばれる計算方法に由来します。もし今でもこの数字を持ち出してくる貸主がいたら、それは違法な業者である可能性が非常に高いと言えるでしょう。
年109.5%の金利は過去の話?その根拠を解説
「年109.5%」という金利が、なぜ過去のものなのでしょうか。これには、法律の改正が大きく関係しています。かつては認められていたこの金利も、今では通用しません。その歴史的な背景と、現在の法律がどうなっているのかを知ることで、不当な請求から身を守ることができます。
1. 1日0.3%の利息(トサン)が由来
「年109.5%」の根拠は、1日あたり0.3%の利息を意味する「トサン」という言葉にあります。これを1年(365日)で計算すると、0.3% × 365日 = 109.5% となります。
かつての貸金業界では、このような日歩での計算が横行していました。しかし、あまりにも高金利であることから社会問題となり、法律が見直されるきっかけとなったのです。
2. 2010年の法改正で上限金利は引き下げられた
多重債務者問題などを背景に、2010年6月18日に貸金業法と出資法が改正されました。この改正によって、それまで存在した「グレーゾーン金利」が撤廃されたのです。
そして、出資法の上限金利は年20%に引き下げられました。これにより、「年109.5%」のような高金利での貸し付けは、明確に法律違反として取り締まられることになったのです。
3. 現在の個人間融資で年109.5%を要求されたら違法
結論として、2026年現在において年109.5%の金利を要求することは、出資法に違反する犯罪行為です。個人間の取引であっても、このルールは変わりません。
もしSNSやネット掲示板などでこのような条件を提示された場合は、絶対に応じてはいけません。それはヤミ金(闇金融)などの違法な業者である可能性が極めて高いからです。
【2026年時点】個人間融資に適用される金利上限の法律
それでは、現在の法律では個人間融資の金利上限は具体的にいくらなのでしょうか。先ほど触れた「出資法」と「利息制限法」が定める上限について、もう少し詳しく見ていきましょう。この2つの法律を理解することが、自分のお金を守る第一歩になります。
1. 出資法が定める上限金利「年20%」
出資法では、貸金業登録の有無にかかわらず、上限金利を年20%と定めています。これを超える金利で貸し付けを行うと、刑事罰の対象となります。
具体的には、「5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、またはその両方」が科される可能性があります。これは個人間であっても適用される、非常に厳しい罰則です。
2. 利息制限法が定める上限金利「年15%〜20%」
一方、利息制限法では、元本の金額に応じて上限金利が変動します。こちらは民事上のルールで、上限を超えた部分の利息契約は無効となります。
| 元本の金額 | 上限金利(年率) |
|---|---|
| 10万円未満 | 20% |
| 10万円以上100万円未満 | 18% |
| 100万円以上 | 15% |
例えば、30万円を借りた場合、利息制限法上の上限金利は年18%です。もし年25%で契約しても、18%を超える7%分の利息は支払う必要がありません。
3. 遅延損害金の上限利率について
返済が遅れた場合に発生するのが「遅延損害金」です。この遅延損害金にも上限が定められています。
利息制限法では、遅延損害金の上限は、利息制限法で定められた上限金利の1.46倍までとされています。例えば、上限金利が年20%の場合は、その1.46倍である年29.2%が遅延損害金の上限となります。
出資法と利息制限法の違いは?罰則と無効の違いを比較
「出資法」と「利息制限法」、どちらも金利の上限を定めていますが、その性質は大きく異なります。片方は「犯罪」になるかどうか、もう片方は「契約が有効」かどうかを判断する基準です。この違いをテーブルで比較しながら見ていくと、より理解が深まります。
1. 刑事罰の対象となる「出資法」
出資法は、社会の経済秩序を守るための法律です。そのため、違反した場合は刑事罰、つまり懲役や罰金といったペナルティが科されます。
年20%を超える金利でお金を貸す行為は、それ自体が犯罪とみなされます。これは、高金利の貸し付けが社会的に有害であるという考えに基づいています。
2. 超えた部分が無効になる「利息制限法」
利息制限法は、当事者間の契約に関する民事上のルールです。この法律の上限を超えても、すぐに犯罪になるわけではありません。
ただし、上限を超えた部分の利息契約は「無効」となります。つまり、法律上、その部分の利息は存在しないものとして扱われ、借りた側は支払う義務を負いません。もしすでに支払ってしまった場合は、返還を請求することも可能です。
| 法律名 | 上限金利 | 違反した場合 |
|---|---|---|
| 出資法 | 年20% | 刑事罰(懲役・罰金) |
| 利息制限法 | 年15%〜20% | 上限を超えた部分の契約が無効 |
3. グレーゾーン金利が撤廃された経緯
かつては、出資法の上限(当時29.2%)と利息制限法の上限(15%〜20%)の間に差がありました。この金利帯は「グレーゾーン金利」と呼ばれ、多くの消費者金融がこの金利で貸し付けを行っていました。
しかし、このグレーゾーン金利が多重債務問題の一因となったため、2010年の法改正で出資法の上限が20%に引き下げられ、グレーゾーンは完全に撤廃されました。
個人間融資に潜む5つのリスク
法律で金利が定められているとはいえ、SNSなどを通じた個人間融資には多くのリスクが伴います。手軽に借りられるように見えるかもしれませんが、その裏には大きな危険が隠れていることも少なくありません。ここでは、特に注意すべき5つのリスクについて解説します。
1. 法外な金利を請求される可能性
個人間融資をうたう貸主の中には、法律を無視して法外な金利を要求する悪質な業者が紛れ込んでいます。年109.5%どころか、年1,000%を超えるような信じられない金利を請求されるケースもあります。
一度でもこのような業者と関わってしまうと、利息が雪だるま式に増え、返済が困難になる可能性が非常に高いです。
2. 個人情報が悪用される危険性
お金を借りる際には、身分証明書や勤務先、緊急連絡先などの個人情報を提出する必要があります。しかし、相手が悪質な業者の場合、その個人情報が悪用される危険があります。
例えば、他のヤミ金業者に情報を売られたり、勤務先に嫌がらせの電話をかけられたりする被害が報告されています。個人情報は一度流出すると取り返しがつきません。
3. 違法・悪質な取り立て被害
返済が少しでも遅れると、昼夜を問わない電話や、自宅や職場への押しかけなど、違法で悪質な取り立てに遭う可能性があります。
精神的に追い詰められるだけでなく、家族や同僚を巻き込んでしまうこともあります。こうした恐怖から、さらに別のヤミ金から借金をして返済に充てるという悪循環に陥る人も少なくありません。
4. 契約書がなくトラブルになりやすい
個人間の取引では、正式な契約書を交わさないケースが多く見られます。口約束だけでお金を貸し借りすると、後から「言った」「言わない」の水掛け論になりがちです。
返済金額や返済日、金利など、条件が曖昧なままでは、ささいな認識の違いから大きなトラブルに発展する可能性があります。
5. 犯罪や詐欺に巻き込まれるケース
個人間融資を装って、実際には別の犯罪に巻き込もうとするケースもあります。例えば、「融資の前に保証金が必要」などと言って、先にお金をだまし取る「保証金詐欺」はその典型です。
また、融資と引き換えに銀行口座の譲渡を求められ、知らないうちに犯罪の片棒を担がされるといった危険性も潜んでいます。
上限金利を超えたら?ヤミ金(闇金融)との関係性
もし、個人間融資で年20%を超える金利を提示されたら、それは単なる「高い金利」の問題ではありません。その相手は、ヤミ金(闇金融)である可能性が極めて高いと考えられます。ヤミ金は法律を守るつもりがなく、関わると非常に危険です。
1. 上限金利を超える貸付はヤミ金業者の手口
出資法の上限である年20%を超える金利で貸し付けを行うこと自体が、ヤミ金業者の典型的な手口です。彼らは法律を無視しているため、上限金利を守るという意識がありません。
「個人だから大丈夫」「少額だから問題ない」といった言葉で安心させようとしますが、その実態は貸金業法に違反する犯罪組織です。
2. 反復継続の意思があれば貸金業登録が必要
たとえ個人であっても、反復継続してお金を貸す意思がある場合は、国や都道府県に「貸金業」としての登録をしなければなりません。無登録で営業することは、貸金業法違反となります。
SNSなどで不特定多数に向けて「お金を貸します」と呼びかけている時点で、反復継続の意思があると見なされる可能性が高いです。正規の登録業者は、必ず登録番号を明記しています。
3. ヤミ金業者が使うSNSやネット掲示板
近年、ヤミ金業者はSNSやネット掲示板を主な活動の場としています。匿名性が高く、足がつきにくいためです。
「#個人間融資」「#お金貸します」といったハッシュタグで検索すると、多くの投稿が見つかりますが、その多くにヤミ金業者が紛れ込んでいると言われています。手軽に見えるからこそ、安易に連絡を取るのは非常に危険です。
高金利の個人間融資を契約してしまった場合の相談先
万が一、上限金利を超えるような個人間融資の契約をしてしまい、返済に困ったり、悪質な取り立てに悩んだりした場合は、一人で抱え込まないでください。すぐに専門の機関に相談することが解決への第一歩です。頼りになる相談先を3つ紹介します。
1. 弁護士や司法書士への法律相談
法律の専門家である弁護士や司法書士は、ヤミ金問題の対応に最も頼りになる存在です。相談すると、代理人として業者との間に入って交渉してくれます。
専門家が介入することで、違法な取り立てが即座にストップするケースがほとんどです。初回相談を無料で受け付けている事務所も多いので、まずは電話やメールで問い合わせてみましょう。
2. 消費者ホットライン「188」の活用
どこに相談していいか分からない、という場合は「消費者ホットライン188(いやや!)」に電話してみてください。全国どこからでも、最寄りの消費生活センターや相談窓口を案内してくれます。
契約トラブルや悪質商法など、消費生活全般に関する相談を受け付けており、ヤミ金に関する問題についてもアドバイスをもらえます。
3. 警察相談専用電話「#9110」への連絡
脅迫や暴力など、身の危険を感じるような悪質な取り立てを受けている場合は、ためらわずに警察に相談してください。緊急の場合は110番ですが、相談の場合は警察相談専用電話「#9110」が利用できます。
専門の相談員が状況を聞き取り、必要なアドバイスや、担当部署への引き継ぎなどを行ってくれます。
SNSや掲示板での個人間融資で注意すべきポイント
トラブルを未然に防ぐためには、SNSやネット掲示板で個人間融資の相手を探す際に、注意すべきポイントを知っておくことが重要です。甘い言葉の裏に隠された危険を見抜く目を養いましょう。ここでは、特に気をつけるべき3つの手口を紹介します。
1. 「簡単審査」「即日融資」などの甘い言葉
「審査なし」「ブラックOK」「誰でも貸します」といった、あまりにも条件が良すぎる誘い文句には注意が必要です。正規の金融機関では、返済能力を審査するのが一般的です。
審査をしないということは、返済できなくても違法な手段で取り立てる自信がある、という裏返しかもしれません。手軽さを強調する広告ほど、警戒心を強く持つべきです。
2. 貸主の身元が不明確な取引の危険性
取引相手の氏名や住所、連絡先がはっきりしないまま、お金を借りるのは非常に危険です。SNSのアカウント名しか分からないような相手と、お金の貸し借りをするべきではありません。
トラブルが発生した際に、相手が誰でどこにいるのか分からなければ、法的な手続きを取ることも困難になります。身元を隠そうとする相手は、何かやましいことがあると考えるのが自然です。
3. 先に手数料や保証金を要求する手口
「融資を実行する前に、手数料として◯万円を振り込んでください」「信用情報を確認するために保証金が必要です」などと言って、先にお金を要求してくるのは、典型的な詐欺の手口です。
お金を振り込んだ途端に連絡が取れなくなり、融資は実行されません。正規の貸金業者が、融資の前にお金を要求することは絶対にありませんので、覚えておきましょう。
個人間融資以外で安全にお金を借りる方法
もし本当にお金に困っていて、どこかから借りる必要がある場合でも、リスクの高い個人間融資に頼る必要はありません。安全に利用できる公的な制度や、正規の金融サービスが存在します。ここでは、代表的な3つの方法を紹介します。
1. 公的機関の貸付制度(生活福祉資金貸付制度など)
お住まいの市区町村の社会福祉協議会では、「生活福祉資金貸付制度」など、生活に困窮している人向けの公的な貸付制度を設けています。
金利が低く設定されていたり、無利子で借りられたりする場合もあり、返済に関する相談にも乗ってもらえます。まずは役所の窓口で相談してみるのが良いでしょう。
2. 大手消費者金融や銀行のカードローン
テレビCMなどでもおなじみの大手消費者金融や銀行のカードローンは、国や都道府県に登録された正規の貸金業者です。法律を遵守して運営されているため、法外な金利を請求されたり、違法な取り立てに遭ったりする心配はありません。
もちろん審査はありますが、スマートフォンで申し込みが完結するなど、利便性も高くなっています。利用する際は、必ず登録業者であることを確認しましょう。
3. 生命保険の契約者貸付制度
もし解約返戻金のある生命保険に加入している場合、「契約者貸付制度」を利用できる可能性があります。これは、解約返戻金の一部を担保として、保険会社からお金を借りる制度です。
審査が不要で、比較的低い金利で借りられるのが特徴です。ただし、返済できないと保険が解約されてしまう場合もあるため、計画的な利用が大切です。
まとめ
個人間融資の金利は、出資法により年20%が上限と定められています。「年109.5%」という数字は過去のものであり、現在では完全に違法です。この事実を知っているだけでも、多くのトラブルを避けられます。SNSなどでの手軽な誘いには、法外な金利や個人情報の悪用、悪質な取り立てといった大きなリスクが潜んでいることを忘れないでください。
もしお金に困ったときは、安易な個人間融資に頼る前に、まずはお住まいの自治体が設けている公的な貸付制度を調べてみましょう。社会福祉協議会などが相談窓口になっています。また、正規の登録を受けた金融機関を利用することも安全な選択肢の一つです。万が一、高金利の契約でトラブルになってしまった場合は、一人で悩まず、弁護士や警察、消費者ホットラインといった専門機関にすぐに相談してください。正しい知識を身につけ、安全な選択をすることが何よりも大切です。